きみへの想いを、エールにのせて
彼の声が微かに震えている。
「バカだよ、茜は」
膝の上で握りしめた手に、自分のモノではない涙が一粒こぼれた。
「お前がますます好きになっちまう」
卓君の苦しげな声が耳に届くと、涙が止まらなくなった。
それから卓君は、小栗君と脇田君にミーティングは中止にするとメールした。
もしかしたら水泳部はこれで終わってしまうかもしれない。
事実が明らかになってしまった今、未来が見えなくなった。
「茜」
卓君は私を椅子に座らせると、自分も隣に座り、肩を抱く。
いつだったか、溺れそうになった私を助けてくれた結城君のように。
「なんであんな嘘をついたんだ?」
その質問には答えられない。
自分でもわからないからだ。
「卓君は、どうして?」
だから私は逆に質問をした。すると……。