きみへの想いを、エールにのせて

「インターハイに連れていってくれるって言ったじゃない」

「あぁ、言った。でも結城の方がずっと近いし、俺はどうせ無理だ」


それが現実かもしれない。でも……。


「私、すごくうれしかった。インターハイを目標に頑張る卓君のこと、尊敬してた」


慰めでもなんでもない。本音だ。


「私は、期待してる」

「茜……」

「それにもし、結果がついてこなかったとしても、がっかりなんて絶対にしない。だって全力を振り絞る卓君を見てるから」


世の中、結果がすべてということもたしかにある。
でも人の価値はそれだけでは決められない。


「卓君、本当は優しいじゃない」


いつも乱暴な言葉を吐くから誤解されやすいけれど、本当は優しい。

ガラスのように壊れやすい心の持ち主である彼は、本当は他人の痛みをよく理解している。
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