きみへの想いを、エールにのせて
「もっと素の卓君でいてよ。お医者様になりたいのだって、お父さんに言われて仕方なくじゃないんじゃない?」
彼と過ごしていてそう感じた。
どれだけハードな練習の次の日でも宿題は必ずやってあったし、テストの成績も下がっていない。
お父さんに言われてイヤイヤだったとしたら、こんなに頑張れないはずだ。
「茜は、なんでもわかっちまうんだな」
彼は「ふー」と大きな溜息をついてから口を開いた。
「その通りだ。親父の仕事を見ていたら俺もって思った。だから好きな水泳も辞められた。でも、親父の期待は俺の能力よりずっと高いところにあって……それに応えられないとわかると、親父は俺のことを軽蔑した目で見るようになった」
やっと……本音を聞き出せた。
でも……。