きみへの想いを、エールにのせて

「私は卓君と……」

「だから、どうして目をそらす」


そんなこと言ったって……。
こんな苦しい嘘、平気な顔してつけないよ。


「茜」


切なげな声で私の名を呼ぶ結城君は、「俺は、茜が好き」ともう一度繰り返した。
そして……。


「俺がリレーで全国に行くのを目標にしてるって、知ってたよな」

「……うん」

「だから、水泳部が必要だったんだよな」


どうしたらいいの?
苦しくて胸が張り裂けそう。


「もうなにも隠さなくていい。全部雄介に聞いた」

「えっ……」


その瞬間、私は結城君の腕の中にいた。


「俺のために、そんなことまでしてくれたなんて……」


彼の声が微かに震えている。


「なぁ、うぬぼれていい? 茜も俺のこと、好きだって」


涙が――あふれ出して止まらない。
結城君と心を通わせることができるなんて。
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