きみへの想いを、エールにのせて
一度私をギューッと抱きしめた彼は、やっと手を離した。
そして、その顔は微笑んでいた。
「茜はいつも俺を導いてくれた。今度は俺の番だろ?」
その言葉がどれだけうれしかったか。
「それに、必ず俺のモノにする」
彼はそう言いながら私の頬に手を伸ばし、涙を拭ってくれた。
それから彼は私を家まで送ってくれた。
「わざわざありがとう」
「俺、茜と一緒にいられて、再確認した」
なにを?
私が首をかしげると「やっぱり茜が好きだ」とつぶやくから頬が赤く染まる。
「それじゃあ」
「うん」
少し照れくさそうな顔をした結城君は、私に手をあげ去っていった。
部屋に駆け込み、枕をギュッと抱きしめる。
私、本当に結城君に告白された?
まだ信じられないような現実と……。
「卓君……」
卓君への複雑な思いが、私を追い詰める。