きみへの想いを、エールにのせて
結城君はインターハイを目指すと言ってくれた。
でも、リレーでなく個人で目指すだけなら、水泳部はいらない。
「悪かったな、茜」
卓君が前を向いたままそう口にするから、目を見開いた。
「お前、俺と付き合ってまで水泳部作ったのにな」
彼は表情ひとつ変えず淡々と口にする。
「でも俺……茜に救われた」
「えっ?」
「俺のこと、信じてくれるヤツもいるんだなって」
私……もしかして、彼の心を動かせたの?
「あれから親父に言ったんだ。親父みたいな一流の大学には行けないかもしれない。でも医者になりたいって」
「卓君……」
「そうしたらさ、跡を継ぐのはお前しかいないだろうがって言うんだぜ。お袋がいなくなったイライラを俺にぶつけてすまなかったって」
ホント、に?