きみへの想いを、エールにのせて

「香川」


結城君は数歩近づき口を開いた。


「俺と勝負しろ」

「勝負?」


結城君は私に一瞬視線を送り、「茜は返してもらう」とつぶやいた。


「なに言ってんだ、お前。返してもらうって、バカじゃねぇの?」


卓君は私の手を引き、自分は前に一歩出た。


「茜は今、自分の意志を言えないでいる。なにが彼女をそうさせているのか俺にはわからないけど、おそらく香川を思いやってのことだろう」


結城君がそう口にすると、卓君が私の手を強く握った。


「もし俺が勝負に勝った時は、茜の本音を聞きたい」


そんな……。
卓君はうしろを振り返り、私を見つめた。


「で、その勝負とやらは?」


そして再び結城君の方に顔を向け、そう言い放つ。
乗るつもり?
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