きみへの想いを、エールにのせて
「来週のリレーのアンカーを争う。明日、練習の後、少しだけプールを借りられる様にしてきた」
「待って……」
私が思わず口を挟んだのは、それが結城君の腰によくないと思ったから。
「アンカーは俺じゃなかったのか?」
「小栗と脇田には、今の時点で速い方がアンカーを泳ぐと了承してもらった」
「そんなことしたら、結城君の腰が……」
そんな勝負をしたら、結城君は全力でキックを打つに違いない。
もしまた腰がダメになったら……。
「大丈夫だ。もう故障しない様に十分な筋トレを積んできた。それに、茜に俺の選手生命をかけてもいい」
「イヤ!」
そんなこと、望んでない。
「いいだろう。その勝負、乗ってやる」
「卓君!」
リレーとなれば、ふたりとも専門外の100メートル自由形。