きみへの想いを、エールにのせて

それぞれ個人種目でインターハイを目指そうとしているのに、専門外の種目で故障してしまったら……。


「お願い、やめて」


卓君の腕にすがりつき懇願したけれど……彼は首を横に振る。


「結城君!」


今度は結城君に視線を向ける。
だけど彼は「明日、21時に待ってる」と言い残して、去っていく。

どうしよう……。


「ねぇ、卓君。お願いだからやめて」


彼を見上げながらそう口にすると……。


「茜はそれだけ価値のある女だってことだ。悪いけど、俺も手を抜くつもりはない。アイツをつぶすつもりで泳ぐ」


腰を故障して、更衣室から真っ赤な目をした結城君がコーチに背負われて出てきたことのことを鮮明に思い出す。

もし、私のせいであんなことがまた起こったら……。
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