きみへの想いを、エールにのせて
「俺も選手生命をかける」
彼はそう言いながらも、優しく微笑み、私の頭に手を置いた。
「それじぁ、明日な」
「待って……」
なにを言っても聞く耳を持ってくれない。
「卓君!」
離れていく彼にもう一度問いかけたけれど、振り向くことはなかった。
自分の部屋に駆け込み、すぐに理佐と泉にラインを送る。
『選手生命をかける』と言ったふたりの顔が、頭に浮かんでは消える。
【卓君と結城君が勝負するって。どうしよう、結城君の腰が悪化するかも】
【勝負って?】
するとすぐに泉から返事があった。
【結城君が勝ったら、私の本音を言えって】
【卓君が勝ったら?】
【きっとそのまま付き合うってことだと思う】
卓君はなにも言わなかった。
でも、きっとそういうこと。