きみへの想いを、エールにのせて

『榎本さんも覚悟を決めて欲しい。龍平も香川も、本気なんだ』


現実を受け止められないのは、私だけ、なの?


『明日、俺たちも駆け付ける。龍平の真剣な思いを、ちゃんと見て。それで、勝負云々じゃなく、榎本さんが自分の気持ちをふたりにぶつけてほしい』

「……わかっ、た」


雄介君と話して、自分の未熟さに気がついた。

卓君を傷つけたくないと彼との付き合いを続けてきたけれど、それは本当の優しさだったのだろうか。
だって卓君は、きっと私の本当の気持ちに気がついているから。

心の底から好きになれないくせに、ズルズルと付き合いを続けるのは、本当に正しいの?


結城君が勝負なんて言い出したのは、私への真剣な気持ちを、その一本に込めて泳ごうとしているだけで、勝敗をつけるためではないのかもしれない。


そして……。
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