きみへの想いを、エールにのせて
「もうあきらめろよ、真夜」
そのとき、うしろからやってきたのは……。
「結城の気持ちは、茜にしか向いてない」
「卓! あなたもこんなバカな勝負に乗らないで!」
「いや、やるよ。こんなに熱い気持ちになるのは、初めてだ」
卓君は、真夜さんの怒りを素知らぬ顔でかわし、私に近づいてきて、頭に手を置く。
「よく、見ておけ」
「うん」
逃げちゃいけない。きちんと見なくちゃ。
「真夜。俺たちは茜のためだけに泳ぐ。お前も本当はわかっているんだろ?」
「なにがよ」
「俺はお前のことが本気で好きだった。でも、その気持ちが届かないことだってあるんだ」
卓君の言葉に、真夜さんが目を見開く。
「俺……結城が俺からお前を奪ったとばかり思ってた。だからアイツが憎かった。でも、違ったんだな」
卓君はなぜか少しだけ微笑み、再び口を開く。