きみへの想いを、エールにのせて

「香川がどうしても来いって言うから」

「そうなの?」

「うん、南高校水泳部にとって、大切な勝負だからって」


水泳部にとって?
それはリレーの順を決めるから?


「茜、始まるよ」


理佐に促され一番前の席に座ると、ふたりがアップを終えてプールサイドに上がったところだった。


「スゲー。体が出来上がってる」


思わずというような感じで、小栗君が声をあげた。

水泳部を立ち上げたばかりの頃より確実にふたりの体は筋肉量が増えていて、ひとまわりもふたまわりも大きく感じる。

それだけハードな練習を積んできた証拠。


一時は頬がこけていた結城君ももとに戻っている。
調整がうまくいっているに違いない。


「始まる」


雄介君のひと言で、皆が息をのむ。
そして……。
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