きみへの想いを、エールにのせて
――ザブン。
ふたりは同時に飛び込んだ。
思わず立ち上がると、他の皆も同じように立ち上がり、目を凝らす。
「すごい」
最初のターンはほぼ同時。
互いに譲ることなく、デットヒートを繰り広げる。
腰の悪い結城君も、1500の時とは違い6ビート。
しかも最初から全力のダッシュ。
隣の卓君は、結城君よりひとかきが小さい気もするけれど、その分ストロークの回数とキックでカバーしている。
そして、50メートルのターン。
ここで卓君が少しだけリードした。
短距離は卓君の方が有利かもしれない。
長距離と短距離では練習の質も違う。
「頑張れ!」
思わずついて出た言葉は、結城君にでも卓君にもなく、ふたりに向けられたもの。
自然と瞳が潤んでくる。
でもきちんと見届けたい。