きみへの想いを、エールにのせて

専門ではないのに、インターハイの標準タイムを切っていた。


「茜……」


感動で涙が止まらなくなった私を理佐が支えてくれる。


「ふたりとも頑張ったよね」

「……うん」


そのままふたりを見つめていると……。


「あいつら……」


雄介君が、すごくうれしそうな顔をする。

それは、どちらかともなく近寄ったふたりが、熱い握手を交わしたからだ。


それからダウンに入り、彼らはプールから上がった。
そして、いつものようにプールに向かって一礼した後、私たちの方に向けても、頭を下げた。


「茜、そんなに泣かないの」


理佐が私を抱きしめてくれるけれど、涙は簡単に止まらない。

こんな素晴らしいレースを目の前で見ることができて、幸せだった。
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