きみへの想いを、エールにのせて
しばらくして、ふたりが更衣室から出てきた。
「お疲れ」
泣きすぎてなにも言えない私の代わりに、雄介君がふたりをねぎらってくれた。
「負けたよ」
すると卓君が口を開く。
「完敗」
完敗なんかじゃなかった。
どちらが勝ってもおかしくなかったほどのレースだった。
「あとは3人で話しな。理佐、帰るぞ」
「雄介、わざわざ悪かったな」
「いや、俺も頑張るわ」
結城君が雄介君に声をかけると、理佐は私の肩をトントンとたたいてから帰っていく。
そして……。
「アンカーは結城だな。それじゃあ、俺達も帰るとするか」
「待て」
脇田君と小栗君を止めたのは卓君。
「ふたりに頼みがある」
頼みって、なに?
「俺、リレーでインターハイを目指したい。頼む。ふたりの力を貸してくれないか?」