きみへの想いを、エールにのせて
卓君は苦笑して、「それじゃ、帰るわ」と足を踏み出した。
でも……。
「あぁ、でも俺も茜をインターハイに連れてくから。それと、茜との関係は全部嘘。こいつ、チューもさせてくれないから、その唇新品だぞ。奪うならお早めに」
「ちょっと、卓君!」
ケラケラ笑う彼は、「腰大事にしろよ」と言い残して帰っていった。
「茜」
「はい」
「泣きすぎ」
「……うん」
結城君は肩から掛けていたタオルを私の頭にかぶせた。
試合の時、卓君がしてくれたように。
「大切にする」
「……うん」
彼は私の腕引き、優しく抱き寄せてくれた。
泣きすぎといったくせに、さらに泣かせるようにことを言うんだから。
でも、すごく幸せ。
「ヤバ」
「どうしたの?」
「コーチに見られてる」
「嘘……」