きみへの想いを、エールにのせて

「もう一回、言っておこうかな」

「なに、を?」

「俺、茜が好きだ」


収まってきたはずの鼓動が再び勢いを増し、胸が苦しい。
やっと大好きな人と本音で向き合える。


「香川はああ言ってたけど、インターハイ連れてくのは俺だから」


彼はクスッと笑う。
まるで子供の張りあいだ。

でも……。


「リレーも必ず。茜が水泳部作ってくれたから、あとは俺たちの仕事」

「結城君……」

「やっと、手に入った」


吐き出すようにそう言う彼は、私を強く抱きしめた。


「ずっと茜のことばかり考えてた」

「ずっと?」

「そう。中学の頃から」


まさか、そんなに前から?


「茜、中学の時、特別棟から毎日毎日練習見ててくれただろ?」

「なんで、知ってるの?」


知られていないはずなのに。
< 343 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop