きみへの想いを、エールにのせて
「最初は知らなかった。でも練習の時間になるといつも特別棟から覗いている子がいるなって気になって、実はこっそり見にいったんだ」
「えっ!」
そんなこと、全然知らなかった。
「そうしたら、茜がいた。すごく楽しそうに練習見てた」
「恥ずかしい……」
クスクス笑う彼は私の髪を優しく梳いた後、体を離した。
「声をかけようかと思ったんだけど、なんか俺、茜と秘密を共有したみたいで、うれしくてさ」
彼の声はこんなに柔らかかっただろうか。
最近はトゲトゲしく聞こえていたのに。
「誰のファンなんだろうって思ってるうちに、茜のことばっかり考えるようになって……それであの予約券だろ?」
「ああっ!」
チョコチップクッキーの!
「予約券って、なんてかわいい子なんだって」