きみへの想いを、エールにのせて

「それじゃあ俺達も」


小栗君と脇田君も同じように宣言する。


「それで突破だ」


龍平は大きくうなずく。

県大会のタイムは、インターハイまであと3秒に迫った。
去年は下位大会で泳いでいたことを思えば、恐るべき進歩。


「俺、200は棄権する」

「卓君、どうして?」


私は驚いて声を上げた。

100メートルと200メートル、両方のバタフライの関東大会の切符を手にしている彼は、当然両方でインターハイを目指すものだと思っていた。


「100の方がインターハイに近い。あとはリレーに全力を注ぐ」

「いいのか?」


龍平がそう尋ねると……。

卓君は、「俺はリレーでインターハイに行きたいんだ」とつぶやいた。


「まったく、キザなヤツ」

「それはお前だろ」


ふたりの仲も修復されて、すっかりチームメイトとして意気投合している。
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