きみへの想いを、エールにのせて

「結城。腰、マッサージしとけよ。お前、アンカーなんだから」

「わかってるよ」

「それじゃあな」


卓君は私たちの横を通り過ぎ、振り向くことなく手を振る。


今回のアンカーは、龍平。
県大会で龍平の方がほんの少しだけ速かったからだ。

相変わらずふたりはいいライバルで、切磋琢磨しながら成長している。


龍平の腰は、筋肉を強くすることで安定している。

そのためのハードな筋トレは、見ているこちらが辛くなるほどだったけれど、彼は弱音を吐くことなくやりきった。



「気合入れますか」

「うん」


そして、関東大会がやってきた。


「どうした、茜。顔が真っ青」


水泳部の仲間と乗り込んだ関東大会会場。
でも私は緊張のあまり倒れそうだった。


「ちょっと緊張して……」


私がそう言うと、卓君が盛大に笑った。
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