きみへの想いを、エールにのせて
「それに、まだリレーがあるだろ?」
「うん」
龍平は体をほぐすためにストレッチ中。
次はいよいよ龍平の出番。
「行ってくる」
「うん」
彼は更衣室の前まで行った私の手をギュッと握った。
きっと私の情熱も一緒に連れていってくれたはずだ。
観客席に戻ると、卓君の隣に座る。
「アイツ、緊張してなかったか?」
「きっと大丈夫」
緊張していないわけがない。
でも龍平ならその緊張も力に変える気がした。
そして……。
飛び込み台に上がった彼は、一瞬天井を見上げ、頬を手でパンパンと叩いて気合を入れると、スタートの姿勢を作った。
「神様……」
もうここまで来たら神頼みくらいしかできることはない。
「大丈夫だ。練習は裏切らない」
「うん」
卓君はそう言ってくれるけど、緊張で酸素がうまく入ってこない。