きみへの想いを、エールにのせて
――用意、ピッ。
いよいよレースが始まった。
龍平は県大会ですでにインターハイの標準記録を突破している。
でも、この大会で切らなければ、インターハイには出られない。
さすが関東大会。
今までの試合とは違い速い選手ばかりで、龍平も3位争いをしている。
途中の800メートルまでは、まずまずのタイム。
同じ調子でラップを刻むのは簡単ではないけれど、その練習はイヤというほど積んできた。
「龍平……」
胸の前で手を組んで、ひたすら行方を見守る。
「結城は、インターハイに出るだけで終わる男じゃないんだよ」
「えっ?」
「アイツは表彰台の一番上が似合う」
まさか、卓君がそんなことを言うなんて。
「だから、心配しないで見てろ」
「……うん」