きみへの想いを、エールにのせて

――用意、ピッ。


いよいよレースが始まった。

龍平は県大会ですでにインターハイの標準記録を突破している。
でも、この大会で切らなければ、インターハイには出られない。


さすが関東大会。
今までの試合とは違い速い選手ばかりで、龍平も3位争いをしている。


途中の800メートルまでは、まずまずのタイム。

同じ調子でラップを刻むのは簡単ではないけれど、その練習はイヤというほど積んできた。


「龍平……」


胸の前で手を組んで、ひたすら行方を見守る。


「結城は、インターハイに出るだけで終わる男じゃないんだよ」

「えっ?」

「アイツは表彰台の一番上が似合う」


まさか、卓君がそんなことを言うなんて。


「だから、心配しないで見てろ」

「……うん」
< 357 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop