きみへの想いを、エールにのせて
卓君の言う通り、去年のインターハイで入賞した選手に遅れることなく、2位まで上がる。
そして、ラスト100メートル。
「結城!」
小栗君が大きな声を張り上げると、脇田君も続く。
たしかに私たちはひとつのチームになった。
「頑張れ……」
ターンをして浮上すると、1位の選手にきん差に迫り……。
「ギアチェンジしたな」
卓君の言う通り、そこからキックを激しく打ち始めた龍平は、あっという間に1位に躍り出た。
そして……。
体半分リードして1位でゴールした龍平は、大きくガッツポーズ。
「まったく、化け物だ」
小栗君が溜息をつく。
なんと県大会の記録を5秒も縮める快挙だった。
当然、インターハイ確定だ。
「よかった……」
まさか、こんなに早く夢を叶えてくれるなんて。