きみへの想いを、エールにのせて
ポロポロ涙があふれ出して止まらない。
プールから上がった龍平は、いつものように一礼すると、私たちの方に向き直し……丁寧に頭を下げた。
その姿はまるで『ありがとう』と言っているかのようだった。
「俺たちも、結城に続くぞ」
「おぅ」
そして3人も着替えにいく。
龍平は戻ってくる時間がない。
そのままダウンをしてリレーに臨む。
いよいよリレー。
水泳部の4人は、このために1年泳いできた。
卓君は1種目棄権し、脇田君は平泳ぎの練習よりクロールの練習に時間を割いたという。
それは皆がリレーでインターハイという共通の目標に向かって走ってきたからだ。
リレーでここまで上がってくる学校は強豪ぞろい。
もともと全国レベルの選手を4人も集めた学校も多い。
でも、南高校は違う。
そのレベルに這い上がって来たのだから。