きみへの想いを、エールにのせて
「頑張れー!」
4人の中では一番タイムが遅い彼は、相当なプレッシャーがあるに違いない。
だけどそれに感づいている龍平が「リレーは皆で戦うものだ」と常々声を掛け、励まし続けてきた。
「あっ、もう少し」
いい調子で泳いでいたものの、最後の15メートルほどでふたりにかわされ、5位に。
それでも彼のラップタイムは、自己ベストを1秒上回った。
ホントに、インターハイに行けるかも……。
そして最近絶好調の小栗君。
彼は個人でこの大会の出場資格を逃したけれど、あとほんのわずかまで迫った。
もしかしたらこの一年で一番タイムが伸びているかもしれない。
引継ぎがほんの少し遅れた気もしたけれど、それは仕方がない。
少しでも早ければ失格になるのだから、慎重にいって正解だ。