きみへの想いを、エールにのせて

「頑張れー!」


4人の中では一番タイムが遅い彼は、相当なプレッシャーがあるに違いない。

だけどそれに感づいている龍平が「リレーは皆で戦うものだ」と常々声を掛け、励まし続けてきた。


「あっ、もう少し」


いい調子で泳いでいたものの、最後の15メートルほどでふたりにかわされ、5位に。
それでも彼のラップタイムは、自己ベストを1秒上回った。

ホントに、インターハイに行けるかも……。


そして最近絶好調の小栗君。

彼は個人でこの大会の出場資格を逃したけれど、あとほんのわずかまで迫った。

もしかしたらこの一年で一番タイムが伸びているかもしれない。


引継ぎがほんの少し遅れた気もしたけれど、それは仕方がない。

少しでも早ければ失格になるのだから、慎重にいって正解だ。
< 361 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop