きみへの想いを、エールにのせて

4位との選手との差はほんのわずか。

彼は必死に食らいつき、横に並ぶ。
そして……。


「すごい」


あと5メートルというところでその選手を抜いてみせた。

彼のラップも、ベストを1秒近く更新している。


これで龍平がベストで泳げば……。
否応なしにインターハイ出場の期待が高まる。


「龍平!」


でも、もう彼のタイムは上限に近い。
それに、1500メートルも泳いだばかりの彼に、ベストを期待するなんておそらく無謀。

それでも祈ってしまうのは、彼自身の心の中にリレーに対する熱い思いが渦巻いているのを知っているから。


4位でスタートした龍平は、そのままの順位を保ち50メートルのターン。

アンカーはどの学校も一番速い選手をそろえている。
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