きみへの想いを、エールにのせて
全国大会に行くということがどれだけ大変なのかを目の当たりにしてきた私は、感動で言葉も出ない。
あの大きな体をした彼らが、時にはプールから上がれなくなるほど泳ぎ込み、時には泳ぎ過ぎて吐いてしまうこともあり……時には……。
ずっと練習を近くで見てきたせいで、感動もひとしおだった。
プールの中の龍平を、他の3人が引っ張り上げ、改めてハイタッチ。
そして、いつものように一列に並び、審判とプールに一礼した。
そして……。
「茜!」
たしかに聞こえた。
ざわついた会場の中で、龍平の声が。
私の方に向き直り一礼してくれた4人は、うれしそうに大きく手を振ってくれるから私も精いっぱい振り返した。
「おめでとう」
本当に、おめでとう。
皆の血を吐くような努力が実った瞬間を、しっかり見届けたからね。