きみへの想いを、エールにのせて

卓君がそう言って「ほら、そろそろ行くぞ」と皆を促した。

私も一緒に歩きはじめると……「バカだなぁ。ふたりにしてやるって言ってんの」と言われて、頬が赤く染まる。


「結城、帰る準備してるから早めにな」

「了解」


私とは違い照れた様子もなく返事をした龍平は、私の手を引き外に出た。
そして、両肩に手を置くと真っ直ぐに向き合う。


「約束、果たせたよ」

「うん」


やっぱりポロポロこぼれてしまう涙は、彼の手が拭ってくれる。


「茜は泣き虫だな」

「だって……」


あなたが泣かすんだよ?


「あっ……」


すると彼は私を抱き寄せ、再び口を開く。


「茜に出会えて、俺の人生は変わった」


そんなの大げさだよ。
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