きみへの想いを、エールにのせて

2年生の今年、表彰台はまだ難しいかもしれない。

この大会で優勝したとはいえ、彼は1500ではまだまだ新人。
もうすでにジュニアの日本代表入りしている選手もいる。

でも、もう一年あれば、全国1位も可能だと思える。


「だから、茜のパワーをくれ」

「私でいいのなら、いつでも」

「お前じゃないと、ダメなんだ」


そして、彼は私の体を離すと、ゆっくり近づいてきて唇を重ねた。


「ご褒美いただき」

「もう!」


照れくさくてうつむくと、彼は私の手を握る。


「香川が言ってた。世界が変わったって」

「うん」


私はあなたに出会って、世界が変わった。


「インターハイに向けて、また頑張りますか」

「了解」


私は見ているだけ。
それでも彼の力になれるのなら、ずっとずっとそばにいる。
< 370 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop