きみへの想いを、エールにのせて
2年生の今年、表彰台はまだ難しいかもしれない。
この大会で優勝したとはいえ、彼は1500ではまだまだ新人。
もうすでにジュニアの日本代表入りしている選手もいる。
でも、もう一年あれば、全国1位も可能だと思える。
「だから、茜のパワーをくれ」
「私でいいのなら、いつでも」
「お前じゃないと、ダメなんだ」
そして、彼は私の体を離すと、ゆっくり近づいてきて唇を重ねた。
「ご褒美いただき」
「もう!」
照れくさくてうつむくと、彼は私の手を握る。
「香川が言ってた。世界が変わったって」
「うん」
私はあなたに出会って、世界が変わった。
「インターハイに向けて、また頑張りますか」
「了解」
私は見ているだけ。
それでも彼の力になれるのなら、ずっとずっとそばにいる。