きみへの想いを、エールにのせて
「チョコちゃん」
「えっ?」
なんと彼の方から声をかけてくれた。
でも、『チョコちゃん』って?
「先行っててくれ」
「了解」
他の友達を先に行かせた彼は、私の前で立ち止まってくれた。
「ごめん。名前聞いてなくて」
「あっ……」
それでチョコチップクッキーの”チョコ”なのか……。
「榎本茜です」
慌てて自己紹介すると、「茜ちゃんか」とつぶやくから、耳が熱くなる。
「でも、チョコでもなんでも呼んでください」
「実はチョコって気に入ってるんだよね」
結城君は、クスッと笑う。
彼に話しかけてもらえるなら、どんな呼び方でも構わない。
しかもチョコってちょっとかわいらしい。
「試合の時はありがと」
「ううん。バタフライ優勝、おめでとう」
恥ずかしくて彼の目を見られない。
本当は『かっこよかった』と付け足したかったのに。