きみへの想いを、エールにのせて
「もうちょっと!」
3回目のターンまではすこぶる順調。
きっとこのハイペースも記録を狙ってのことだろう。
あと25メートル。
隣のコースの選手がジリジリと差を詰めてきた。
でも、まだ体ひとつぶんのリードがある。
きっとこのまま優勝できる。と思った瞬間……。
「どうして?」
なぜだか突然ペースダウンした結城君は、あっという間に隣の選手に抜かれてしまった。
ハイペースすぎて疲れてしまったの?
頭が混乱していると、そのままもうひとりにも交わされ、結局3位でゴール。
タイムは全中のときより1秒以上遅かった。
あのままなら確実にベストを更新していたはずなのに。
これが競泳の厳しさなの?
ペース配分を少し間違うだけで、こんな結果に終わってしまうの?