きみへの想いを、エールにのせて
どうしたの?
ひとりで歩けないの?
イヤな予感が当たってしまった。
あの失速の仕方。
どう考えてもレース配分のミスではない。
徐々にではなく、突然スピードが落ちたから。
そう、まるで骨がボキッと音を立てて折れてしまったかのように。
結城君の姿を遠巻きに見ながら、近寄ることができなかった。
あの真っ赤な目は、きっと泣いていたに違いない。
こんな姿を見られたくはないだろう。
不安でいっぱいになってしまった。
でも、もっと不安なのはきっと結城君。
動揺を隠すことができず、結城君がチームのコーチと思われる人の車に乗り込んだのを見届けて、会場を後にした。
「それで?」
次の日、春休み中の理佐と泉を呼び出して、話を聞いてもらっていた。
すると、理佐が身を乗り出して聞いてくる。