きみへの想いを、エールにのせて

「あっ、きた」


それからさらに10分。
やっと理佐のスマホが震えた。


「やっぱりケガだって」

「そうなんだ」


ちょっと泣きそう。
優勝を目指して必死に練習してきた結城君の気持ちを思うと、辛くてたまらない。


「腰椎分離ってやつらしい」

「なにそれ?」


聞きなれない言葉に首を傾げていると、理佐はすごい勢いで文字を打った。

何度も繰り返される着信音にドキドキしながら理佐を見つめていると「はぁ」と大きな溜息。


「雄介も詳しくはわからないらしいんだけど、腰の骨が疲労骨折したような状態なんだって」

「骨折? そんなにひどいの?」


思わず体を乗り出すと……。


「うん。前から症状が出てたらしいの。すでにヒビの入っている状態だったけど、試合で優勝したくて無理してたみたい。フォームを矯正して治す努力はしてきたみたいなんだけど、今回、そのヒビがずれちゃったらしいよ」
< 55 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop