きみへの想いを、エールにのせて

出席番号順に指定された席は、窓側の一番後ろ。
でも彼は廊下側の後ろから2番目。
かなり遠い。


ほとんど席が埋まってきたのに、結城君の席は空席だった。


「それじゃあ行くわ。またあとで」

「うん」


理佐と別れて再び席に戻ると、ドアをじっと見つめて動けなくなった。

結城君、回復しているだろうか。
雄介君の情報では、まだ泳いでいないらしい。


結局、始業時間ギリギリに、彼は現れた。

幸い普通に歩いているようだけど、もしかしたらコルセットはしているのかもしれない。


表情を変えず席に着いた彼は、なにをするとでもなくボーっとしている。
生気がなくなってしまったかのような彼の姿に胸が痛んだ。


程なくして、体育館への異動の放送がかかると、皆が一斉に立ち上がった。
新担任の発表は体育館で一斉に行われるからだ。
< 58 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop