きみへの想いを、エールにのせて
涙が溢れそうになり思わず目を閉じると、試合会場で私に向かって手を振ってくれた彼のことを思いだした。
その日はそれから結城君と話すことすらできなかった。
安易に「頑張って」なんて言えなくて、話しかけることもできない。
「茜」
隣のクラスになった泉が私を見つけて追いかけてきた。
「やったじゃん」
「なにが?」
「なにって、結城君よ」
「あぁ」
朝はあんなにテンションが上がったのに、結城君の辛そうな顔を見たら、そんなこと頭から飛んでしまっていた。
「なによ、今頃飛び上がって喜んでると思ったのに」
私の隣を歩き始めた泉は、「もしかして」と突然歩みを止めた。
「結城君のケガ、まだ治ってないとか?」
泉は察しがいい。