きみへの想いを、エールにのせて
2時間も彼の姿を見ていられるかと思うと、胸が躍る。
しかも試合会場や、特別棟の窓からよりずっと近い。
「でも、俺……まだ調整で」
「なに言ってるの。結城君が泳いでるだけで私はうれしいよ」
私がそう言うと彼は「ありがと」と照れくさそうに微笑み、行ってしまった。
ガラス越しにプールを眺めていると、目の前を選手が通っていく。
「あっ……」
結城君より先に、あの女の子に気がついてしまった。
試合会場でイヤホンを半分ずつ使っていたあの――。
だけど当然彼女の方は私のことなんて知らず、そのまま通り過ぎた。
しばらくすると、結城君も入ってきた。
当然水着姿なのだから、どこを見ていいのか迷ってしまい目が泳ぐ。
でも彼は私に視線を送り微笑んでくれた。