きみへの想いを、エールにのせて

魚、みたい。
水が彼と戯れるのを喜んでいるようにすら見える。

結城君の泳いでいる姿をまた見られることの幸せ。

やっぱり彼は辞めちゃいけない。
泳いでいるだけで感動するほど美しい。


でも、しばらくすると腰が痛むのか、プールサイドに上がってしまった。
そして、コーチにマッサージをしてもらっている。


きっと思うように泳げなくてもどかしいだろう。
それでも再び表彰台に立つために努力している彼に、頭が下がった。


2時間はあっという間だった。
選手が続々と着替えて出てくるのを待っていると、「お待たせ」と結城君も出てきた。


「ほんとに2時間いた」

「うん。もちろんだよ」


結城君は思ったより元気だった。
途中で自ら上がらなければならないほどの状態に、落胆しているかもしれないと思ったのに。
< 94 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop