きみへの想いを、エールにのせて
すると、真夜さんは私の横を通るとき、一瞬鋭い目を私に向けた。
「誰か知らないけど、龍平の邪魔しないで」
えっ?
「邪魔、なんて……」
そんなつもりまったくない。
でも、私の言葉なんて聞く耳持たず、彼女は行ってしまった。
「お待たせ。あれ、チョコちゃん、どうかした?」
「ううん。なんでもない」
結城君はすぐに戻ってきてくれたけれど、真夜さんの冷たい声で頭がいっぱいになってしまった。
私、邪魔なのかな……。
彼女としてではなく、いちファンとして彼に接することですら、彼の重荷、なのかな……。
それでも結城君に心配かけたくなくて、笑顔を作り歩き出した。
「お疲れさま。結城君はホントにすごいね」
「すごくないよ。水泳は競技人口が多いからね。必死にやらないとすぐに置いていかれる」