秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
*
「ほ、本当ですか!」
一瞬の間を置いて、上がった歓声。
皆が飛び上がって喜ぶ中で、私だけが暗く沈んでいた。
*
やはり、スーツ姿のふたりはレコード会社の人達だった。
それもけっこう大手のレコード会社だ。
何度かライブを見て、シュバルツのことをとても気に入り、ぜひ、メジャーデビューの話を進めたいということだった。
二人が帰った後も、楽屋の中は興奮が冷めなかった。
みんな、二人からもらった名刺を嬉しそうにみつめてる。
「ついにこの日が来たんだな!」
「あぁ、まだ信じられない…!」
みんなの晴れやかな顔を見ながら、私は無理して愛想笑いを浮かべた。
本来の感情を出すわけにはいかない…
悲しくて辛くて泣きわめきたい気持ちを私はただ隠すしかなかった。
「かおり!
やったぜ!
ついに、俺達、結婚出来る!」
苦しい程の抱擁…
瑠威は砂粒程の疑念さえ抱いてはいない。
私達が結婚するものと信じて疑わない。
(瑠威…さようなら……)
私は、瑠威の腕の中で、一粒の涙を流した……
「ほ、本当ですか!」
一瞬の間を置いて、上がった歓声。
皆が飛び上がって喜ぶ中で、私だけが暗く沈んでいた。
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やはり、スーツ姿のふたりはレコード会社の人達だった。
それもけっこう大手のレコード会社だ。
何度かライブを見て、シュバルツのことをとても気に入り、ぜひ、メジャーデビューの話を進めたいということだった。
二人が帰った後も、楽屋の中は興奮が冷めなかった。
みんな、二人からもらった名刺を嬉しそうにみつめてる。
「ついにこの日が来たんだな!」
「あぁ、まだ信じられない…!」
みんなの晴れやかな顔を見ながら、私は無理して愛想笑いを浮かべた。
本来の感情を出すわけにはいかない…
悲しくて辛くて泣きわめきたい気持ちを私はただ隠すしかなかった。
「かおり!
やったぜ!
ついに、俺達、結婚出来る!」
苦しい程の抱擁…
瑠威は砂粒程の疑念さえ抱いてはいない。
私達が結婚するものと信じて疑わない。
(瑠威…さようなら……)
私は、瑠威の腕の中で、一粒の涙を流した……