秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
*
(どうすれば良いんだろう?)
私の願いは脆くもはじけ、シュバルツのメジャーデビューはすぐ目の前に迫っている。
(どうすれば良い?
どうすれば、うまく別れを切り出せる?)
瑠威はこのところすっかり浮かれている。
結婚情報誌を買ってきたり、式場を探したり…まるで若い娘のように、浮き浮きと毎日を過ごしている。
来週には、レコード会社の人との話し合いがあるらしい。
迫りくる時間の中で、私は、なにも良い案がみつからないまま、焦りと不安に追い立てられていた。
最近では仕事にもまるで身が入らない。
「北川さん、こんにちは。」
「あ、こんにちは。」
ぼんやりとしていた時、店の前を通りがかったのは、同じビルで働く藤堂さんだった。
彼は三階で、IT関連の会社を開いている。
私や友人と同年代で、だからといって特に親しいというほどではなかったが、顔見知りでどちらかというと好感を持つ相手だった。
(あ……)
さわやかに微笑み、店の前を通り過ぎようとする藤堂さんの姿をなにげなく目で追っていたその時…私の頭にひらめくものがあった。
「あ、あの…藤堂さん…今、ちょっと良いですか?」
「え?ええ、かまいませんよ。」
少し戸惑った顔をしながらも、藤堂さんはまた戻って来て話を聞いてくれた。
(どうすれば良いんだろう?)
私の願いは脆くもはじけ、シュバルツのメジャーデビューはすぐ目の前に迫っている。
(どうすれば良い?
どうすれば、うまく別れを切り出せる?)
瑠威はこのところすっかり浮かれている。
結婚情報誌を買ってきたり、式場を探したり…まるで若い娘のように、浮き浮きと毎日を過ごしている。
来週には、レコード会社の人との話し合いがあるらしい。
迫りくる時間の中で、私は、なにも良い案がみつからないまま、焦りと不安に追い立てられていた。
最近では仕事にもまるで身が入らない。
「北川さん、こんにちは。」
「あ、こんにちは。」
ぼんやりとしていた時、店の前を通りがかったのは、同じビルで働く藤堂さんだった。
彼は三階で、IT関連の会社を開いている。
私や友人と同年代で、だからといって特に親しいというほどではなかったが、顔見知りでどちらかというと好感を持つ相手だった。
(あ……)
さわやかに微笑み、店の前を通り過ぎようとする藤堂さんの姿をなにげなく目で追っていたその時…私の頭にひらめくものがあった。
「あ、あの…藤堂さん…今、ちょっと良いですか?」
「え?ええ、かまいませんよ。」
少し戸惑った顔をしながらも、藤堂さんはまた戻って来て話を聞いてくれた。