秘密のカレはV(ヴィジュアル)系




「じゃあ、行って来るから。」

「行ってらっしゃい。」

しばらくすると、準備の整った瑠威が部屋から出てきて、私はそれを見送った。
今の瑠威を見て、シュバルツのヴォーカリストの瑠威だと気付く人はまずいないと思う。
短髪黒髪のウィッグに、目深にかぶった帽子、普段ならまず着そうにない地味でカジュアルな服を着て、瑠威が夕方から出かける先は高校生の家。
瑠威は家庭教師のバイトをしている。
ママともなるべく一緒にいたいし、バンドの練習もあるしってことで、拘束時間は短くて時給の良いバイト…と、考えて、家庭教師になったみたい。
はっきりとは教えてくれないけど、瑠威はけっこう頭が良いらしく、良い大学を出ているらしい。
そうじゃなきゃ、なかなか家庭教師のバイトなんて出来ないよね…
間違っても私なんかにはとても無理…!
天は二物を与えず…なんて言うけれど、瑠威は二物も三物も持ってるよね。
あ…そんな瑠威だから、十五も年上のママと恋に落ちたのかな?
それって、ある意味、罰ゲーム…??
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