秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
side 瑠威
*
(畜生……!)
俺は固い握りこぶしを、クッションにぶつけた。
苛々しているのは、誰あろう、俺自身にだ。
望結に言われて、なにも言い返せなかった。
「瑠威はママのこともっと考えるべきだよ!」
そんなこと、言われなくたってわかってる。
……俺だって、気にしてないわけじゃない。
だけど、両親に結婚のことを言ったところで、反対されるのがおちだ。
それだけならまだしも、どうせかおりに酷いことを言うに決まってる。
かおりには辛い想いはさせたくない。
だから、会わせたくないんだ。
俺がバンドをやめないからといって、その後、一切の連絡を絶ったのは親父達の方だ。
あの時に、俺はもう親との縁は切ったつもりだ。
俺は、俺だけでかおりを絶対幸せにしてみせる。
それの何が悪いんだ!?
そんな想いのどこかで、もやもやとした気持ちがあることは事実だ。
俺だって、結婚をみんなに祝福してほしい。
でも……
親父は絶対にかおりのことは認めないだろう。
そんなことはわかってる。
年がどうとか、子供がいることとか、初婚じゃないとか、いろんなことを言って反対するに決まってる。
だったら、最初から言わない方が良いじゃないか。
かおりに悲しい想いをさせないためにも、今まで通り、親とは決別したままの方が誰にとっても良い事なんだ。
メンバーはみんな俺とかおりのことを祝ってくれる。
(それだけで良いじゃないか…)
(畜生……!)
俺は固い握りこぶしを、クッションにぶつけた。
苛々しているのは、誰あろう、俺自身にだ。
望結に言われて、なにも言い返せなかった。
「瑠威はママのこともっと考えるべきだよ!」
そんなこと、言われなくたってわかってる。
……俺だって、気にしてないわけじゃない。
だけど、両親に結婚のことを言ったところで、反対されるのがおちだ。
それだけならまだしも、どうせかおりに酷いことを言うに決まってる。
かおりには辛い想いはさせたくない。
だから、会わせたくないんだ。
俺がバンドをやめないからといって、その後、一切の連絡を絶ったのは親父達の方だ。
あの時に、俺はもう親との縁は切ったつもりだ。
俺は、俺だけでかおりを絶対幸せにしてみせる。
それの何が悪いんだ!?
そんな想いのどこかで、もやもやとした気持ちがあることは事実だ。
俺だって、結婚をみんなに祝福してほしい。
でも……
親父は絶対にかおりのことは認めないだろう。
そんなことはわかってる。
年がどうとか、子供がいることとか、初婚じゃないとか、いろんなことを言って反対するに決まってる。
だったら、最初から言わない方が良いじゃないか。
かおりに悲しい想いをさせないためにも、今まで通り、親とは決別したままの方が誰にとっても良い事なんだ。
メンバーはみんな俺とかおりのことを祝ってくれる。
(それだけで良いじゃないか…)