秘密のカレはV(ヴィジュアル)系




「おはよう。」

「おはよう。」

次の朝、私は何もなかったように食卓に着いた。
それは瑠威も同じだった。
瑠威も、なにもなかったようにごく普通にふるまっている。
でも、お互いに視線は合わさない。



「瑠威、今日は練習はあるの?」

「うん、バイトの後、練習行ってくるから、夕飯はいらないから。」

「そう、わかった。」

瑠威の目を見ずにそう言った。



この調子じゃ、瑠威はママに何も言ってないみたいだ。
まぁ、その方が良いのかもしれない。
だって、ママに話せる話じゃないもの。



「ママは今日は?」

「今日はたぶんいつも通りだと思うわ。」

「そう…じゃ、夕飯は家で食べる?」

「……うん、多分ね。」

なんだろう、多分、多分って…
何か用事でもあるのかな?



「望結……」

ママが席を立った時、不意に瑠威が話しかけてきた。



「……何?」

「ごめんな…昨日のこと…」

「え?……あ……わ、私こそ……」

思いがけなく瑠威が謝るから、私もびっくりしてしまって…



昨夜までは瑠威に頭に来てたのに、そんなことも一瞬で消え去ってしまった。



「かおりには何も言わないでおこうな。」

「う、うん、もちろんだよ。」

私って本当に単純だな。
なんか簡単に瑠威のこと許してしまって…



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