秘密のカレはV(ヴィジュアル)系





(あぁ、頭いてぇ…)



昨夜はかおりがいないこともあって、羽目をはずしすぎたようだ。
思いっきり飲んで、いつどうやって帰って来たのかもまるで覚えていない。
ぼんやりとした頭で、俺は柱の時計を見上げた。



(2時…え?)



一瞬、夜中かと思ったがそんなわけはない。
窓から差し込むのは明るい陽の光だ。



(もうこんな時間か…)



今日のミーティングは6時からだ。
集合場所へは電車で30分もあれば行けるから、5時過ぎに出て行けば十分間に合う。



俺はゆっくりとベッドから起き上がった。
大きく伸びをして大きなあくびをひとつ…



レコード会社の人との大切な話し合いだというのに、いまひとつ緊張感が感じられない。
とにかく、まずは熱いシャワーでも浴びてすっきりしよう。



望結はやはりまだ帰って来てはいなかった。
かおりも当然仕事だからいない。



そんなことはわかっていても、誰もいない家はやはり寂しいものだ。



(結婚しても、やっぱりここに住むのかな?)



ふとそんなことを考えた。
望結をひとりここにおいて、俺達が出て行くっていうのはやっぱりかおりがいやがるだろう。
二人っきりの新婚生活っていうの味わってみたいけど、子供がいることは最初から分かっていたことだし、今更、それをどうこうとはいえない。






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