秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
「それと……君たち、女性関係は特に問題ないよね?」

「えっ?どういうことですか?」

「だから…デビューしてから、トラブルとかあったら、やっぱりまずいでしょ?」



特に、女性とトラブルがあるメンバーはいないはずだ。
トラブルというわけではないが、問題があるとしたら俺だろう。



「あの…俺、実は今一緒に暮らしてる人がいて……」

「そうなんだ…」

「メジャーデビューが決まったら、結婚するつもりなんです。」

「えっ!それはまずいなぁ…
君はヴォーカリスト…つまり、バンドの華だよね。
君たちはデビューしたらきっとに気が出る…でも、君が結婚してることがわかったら、やっぱりトーンダウンしちゃうよねぇ…」

「だけど……」

「何も別れろなんて言ってるわけじゃないよ。
ただ、もう少しタイミングをずらせるのはどうかな?
デビューして、君たちの人気が定着してからでも遅くはないんじゃないかな?」

言いたいことはいろいろあった。
結婚をずらせるつもりもなかった。
だけど…もしも、俺がここで強行に意見を通そうとして、相手の機嫌を損ねたら…
せっかくのメジャーデビューの話がご破算になってしまうかもしれない。
俺の問題だけでそんなことになったら、他のメンバーに合わせる顔がなくなってしまう。
だから、俺はそれ以上のことは言わずに我慢した。
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