秘密のカレはＶ(ヴィジュアル)系
「わかってるよ。
……でも、ここまで僕はシュバルツを応援してきたんだ。
これからも少しでも関わっていきたいんだ。」

「でも、新入社員となると、給料だって下がるんじゃないか？
生活の方は大丈夫なのか？
それに入ったところで、他の仕事をさせられるかもしれないんだぜ。」

「それはそうだけど…大丈夫だよ。
足りなきゃバイトでもなんでもやるし。
それに、やってみないとわからないじゃないか。
運良く、付き人にしてもらえるかもしれないよ。
なんたって僕は長年シュバルツのマネージャーをやってたんだ。
みんなのことなら、なんでもわかってるからね。」

小西が俺達の事を考えていてくれたことはわかってたつもりだったけど、これほどまでにメジャーデビューに対して前向きだったとは、少し意外な気がした。



「瑠威はどうするんだ？
かお姉との結婚はやっぱり延期にするのか？」

「いや…悪いんだけど、それは変える気はない。」

「……だよな。きっとそう言うと思ってた…」

「でも、岡部さんは困るって……」

「考えたんだけど……
契約してから、入籍するっていうのはどうだろう？
怒られるだろうし、二人の事は絶対に秘密にしろとは言われるかもしれないけど、さすがに、離婚しろとは言われないだろ？」

みんなから低い歓声が上がった。



「さすが、瑠威…
悪知恵が働くね。」

「悪知恵ってなんだよ。」

「悪知恵以外のなんだって言うんだよ！」

皆の笑い声が響く。
はやしたてられ、肘で小突かれたけど、それが最善の方法のように感じられた。
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