秘密のカレはＶ(ヴィジュアル)系
食後のコーヒーを飲みながら、望結と他愛ない話をしていたら、玄関のチャイムが鳴り響いた。
それと同時に、かおりが部屋から出て来て、玄関へ向かった。



かおりと一緒にリビングに戻って来たのは、見知らぬ男…
三十代後半位に見える垢ぬけた感じの男だった。



「こちら、藤堂史也さん。」

かおりはだれとはなしにその男を紹介した。



「初めまして。藤堂です。」

男の視線は俺に注がれていた。
俺はただ小さく頭を下げるだけで、なにも言わなかった。



「あ、君が望結ちゃんだね。
初めまして。」

「は、初めまして。」

「望結…ママは藤堂さんとお付き合いしてるの。
もう一年くらい前から。」

「えっ！で、でも、ママには瑠威が…」

望結は、可哀想なくらい、とても戸惑っている様子で、救いを求めるような目で俺をみつめた。



「瑠威とは別れるつもりなのよ。」

「えっ！！」

望結の驚きはさらに大きなものとなった。



「瑠威…本当なの？」

消え入るような望結の声…



「心配するな。
俺達は絶対に別れない。」

「でも、ママが…」

望結の声は鼻にかかり、その瞳は潤んでいた。
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