秘密のカレはＶ(ヴィジュアル)系

「ママ…そんな無理することないよ。
瑠威は、本気でママのこと、愛してるんだし…
スキャンダルのことなんて気にしないよ。」

「望結…気にするとかしないとか、そういうことじゃないの。
やっぱり、ヴォーカリストっていうのはバンドの中でも一番目立つ人だし…
その人が私みたいな女と付き合ってるってなると、それはバンドにとってマイナスイメージになっちゃうから…」

「ママは何も悪くないよ。
自分の事をそんな風に言わないで。
私ね…実はママと瑠威は結婚してもきっと長続きしないだろうって思ってたの。
メジャーデビューしたら、瑠威はきっとママのことなんてあっさり捨てるだろうって…
でも、昨夜の瑠威を見てたら…それは違うなって思った。
瑠威は何があってもママを捨てたりなんかしない。
きっと、ずっとママのことを愛してくれるって思ったの…」

「望結……」

それは、本心から出た言葉だった。
瑠威はきっと、私の期待を裏切らない。
私にはそう思えた。



「だから、ママも素直になって。
瑠威のことをもっと信頼してあげて。
それにね…シュバルツほどの人気と実力があったら、きっとスキャンダルなんて跳ね除けられると思うんだ。
ファンの子達だって、きっと祝福してくれるよ。」

それはちょっと無理して言った言葉だったけど…
さゆみがママと瑠威の事を知ったら、どうなるかなぁ…
そう簡単には許してくれないかもしれない…