秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
「もうっ!ママの意地悪!」

「せっかく変装までしてるのに、見破っちゃ可哀想だと思ってね。」

全く、ママったら意地悪なんだから…



「あなた……瑠威が好きだったの?」

「え?ううん。
私は特に誰っていうのはなくて…そりゃあまぁ確かにステージの瑠威は格好良いけど、うちでの瑠威も知ってるからね。
友達が瑠威の大ファンで、私は一応オルガさんのファンってことになってるの。」

「一応…?」

「みんな、特定の誰かのファンだから、一応、決めてた方がみんなともうまくいくから…」

「ふ~ん、そういうのがあるの…
ねぇ、望結…あなた、出待ちをのぞいてたこともあるわよね?
ちょっと離れた所から隠れて…」

「えっ!!そんなことも知ってるの?」

それにはびっくりした。
あれは、確か…そうそう、さゆみに頼まれて瑠威への手紙を書いた時…
さゆみがちゃんとあの手紙を渡せるか気になって、こっそり見てたんだ。
あれ…?でもあの時は確か、ママはいなかったような…




「どうして、みんなと出待ちしなかったの?」

「だ、だって、そんなことしたら、瑠威にバレちゃうし。」

「あ、そっか…それでいつも影から見てたのね?」

「いつもじゃないよ。
あの時は特別…実はあの時はね…」

私はさゆみに頼まれて、瑠威への熱い手紙を書いたことを話した。
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